相模原みのり塾 活動ブログ

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7/4に「SDGsパートナー向け視察研修」に参加してきました

7/4(火)に丸一日をかけて、相模原でSDGs活動をがんばってやっている企業さんをまわり、ヒントをもらう「SDGsパートナー向け視察研修」に参加してきました!

定員20名のところ40名の応募があったそうで、抽選となったのですが、ありがたいことにみのり塾は1枠をいただきまして、代表が参加してきました。

 

なぜ、参加希望を出したかというと、みのり塾がこれから取り組もうとしている「さがみっこ学び応援隊」での活動のために、見学させていただけるところや内容について知りたかったからです。

3つの企業さんの活動を見せていただきまして、いろいろと学ぶところも多くありました!その備忘録も兼ねてこちらに報告させてもらいます。

 

この日は、朝9時前に相模原駅前に集合。大きいマイクロバスを用意してくださっていて、感染対策も兼ねているんだなと思うくらい、ゆったりと座らせてもらい、出発しました。

 

まず最初にうかがったのは、「株式会社コバヤシ精密工業」さん。社長さん自らがプレゼンしてくださいました。

コバセイさんでのSDGsへの取り組みは(1)「電気消費量の見える化・ライブ版」の紹介と、(2)工場内での電気消費量削減への事例紹介でした。

(1)電気消費量の見える化・ライブ版

商品名は「ENIMAS」という装置で、工場などの配電盤に取り付けて、どの時間にどこでどれくらいの電気が消費されているかを測定。数値だけでなくグラフでも表示され、まさに電気消費量をライブ中継してくれます。

このデータをもとに、どこで電気がたくさん使われているか、使っていないと思っていた装置がずっと電気を使ってる・・・どんな仕事をやるとどのくらい電気を使うのか、意外と使わないのか、などなど、自社工場がモデルルームとなっていて、工場内を見学させてもらいながら、実は、この装置すごく電気を食ってました、とか、この装置をこの時間に使うと効率的、など、発見できたことを紹介してくださいました。

もちろんこれはモニタしているだけなので、これで消費電力を削減できるわけではないのですが、私たちの思い込み(意外なところで電気って食ってる)に気づかせてくれて、そこからどうするのが最善かのアクションを考えていく第一歩になるのですよね。まず気づくためのデータ収集はとても大事。思い込みや感覚ではなく、実際にどうなのかをちゃんとデータで示す、ということが、理系出身&ものづくり大好きな私には、とてもしっくりきました。

これをつけて、コバセイさんでどこをどのようにすれば電気消費量削減できるのかを検討し、電気消費量をおさえて最適化していった経緯も説明してくださいました。

(2)工場内での電気消費量削減への事例紹介

実際に工場をまわりながら、いかに工場内で働く人たちに快適に働いてもらいながら、設備も良い状態で稼働させるかが大切なポイントだと説明していただきました。ちなみにこの日の工場内のエアコン設定は30℃。えー暑そう、って思ったのですが、意外と暑くなく、その秘訣は換気と空気の循環だそうです。

そして、おもしろかったのは、着るエアコン!

これ、まだ試作品なので一着2万円するらしいのですが、社長さんいわく、「人間が涼しければ良いので、人間が働きやすい気温になるように、工場全体にエアコンを入れるのはとても非効率。人間側に何か策をやってみよう!」ということで、「着るエアコン」Wearconを社員さん全員に着てもらっているそうです。なので、社員さんは30℃の工場内でも涼しく仕事ができる、というわけです。

たしかに!理にかなってますよね。とても個人的な意見ですが、ぜひぜひ子どもたちの制服に採用してほしい!って思いました。学校暑いんです・・・

なんで、これを着ると体感温度ー5℃なのか。それは「気化熱」を利用したしくみだそうです。ウェアがほんのり湿って、その水分を気化するときにまわりの空気から熱を奪うので涼しくなる、というからくり。

ぜひ実用化されて、一般の人も購入できるようになってほしいと思いました。

コバセイさん、いろんな事例を紹介してくだり、ありがとうございました!

 

次にうかがったのは、「株式会社日本フードエコロジーセンター」。相模原市民の方はご存じの方も多いと思いますが、廃棄された食品から飼料をつくるリサイクル事業をされている会社です。子どもたちには、とてもわかりやすい題材で、SDGsにつながるさまざまな要素があり、工場見学できると良いかもと思っていたので、ありがたい機会となりました。

ここでも、社長さんがプレゼンしてくださいました。印象的だったのは、この事業を始めたのが、食品ロス問題を解決するためではなく、日本の畜産業界を支えたい、という理由だったということです。それが結果的に、食品ロスを減らす取り組みになっていて、畜産にも環境にもアクションできている形になっているのが、とてもおもしろいと感じました。

良い飼料を作るのが目的なので、おかしな廃棄食品は受け入れ不可。きちんと提供側が仕分けておくことが大切で、リサイクルするためのひと手間ふた手間をきちんと要望して、それを実現していっているところが、素晴らしかったです。

循環型社会にしていくためには、消費側の手間や努力が本当に大事だし、必要となってきています。なんでも生産側、処理側におまかせではダメなんです。子どもたちには、そういう社会であることの必要性を知ってほしいなあと。

工場では、この日も次々と、きちんと仕分けされた鮮度のある廃棄食品が搬入されていました。

そして、みなさん、廃棄食品を扱っているということで、けっこうすごいにおいがするんじゃないかと思いませんか?実は、私も思ってました・・・。

ちょっと覚悟していたのですが、いやいやいや。全然、嫌なにおいはなかったです!もちろん食品なので、それなりに何かしらのにおいはしますが、くさいとか、気分悪くなる、とかそういうのは、一切なかったです!すごいですよね。

説明してくださった社員さんも、働いている社員さんの環境を守るためにも、そうじをしっかりやって、腐敗臭がしないようにすることと、なにより良い飼料のために扱う廃棄食品の鮮度を要求しているので(今日出た廃棄物のみ受け入れ、など)、腐る前に処理工程に入ってしまうので、においの元になるものが実はあまりないんです、とおっしゃってました。

そして、できた豚さん用の飼料も見せてもらい、においもかがせてもらったのですが、全然臭くない!

豚にとっておいしくつくると、においもあまりしないんです、とおっしゃってました。

そして、今年から新しく始まるバイオガス発電の施設へ。新しく「さがみはらバイオガスパワー株式会社」を設立し、廃棄食品をメタン発酵させて出るバイオガス(メタンガス)を燃料にした発電を始められるそうです。できたばかりでピカピカでした!

これに使う廃棄食品として、これまで受け入れられなかったものを扱えるようになると同時に、飼料を作る過程で出てしまう残渣もここで処理できるようになるそうです。それで電気を作るのですから、すごいですよね。ぜひ微生物くんたちに頑張ってほしいです。

フードエコの事例、そして新しい取り組みもたくさん見せていただきありがとうございました!

 

さて、そして3つ目は緑区へ。最後の見学企業は「さがみこベリーガーデン」でした。ここのSDGsは、太陽光発電施設をブルーベリー農場の上に作り、地面ではブルーベリー栽培、その3メートル上空で発電していることです。発電した電気は、農場で使うのではなく、電力会社に売って一般の家庭が使える電気となっています。

これまでになかった産業の組み合わせ、それも6次産業(農業などの1次産業に2次、3次産業を組み合わせた新しい形)のおもしろい例だと感じました。立ち上げの理念から、実際にスタートするまで、そして一年経ってどうなのか、というところまで、とても丁寧に説明してくださいました。

新しいことを始めるときに、それによる利潤だけを追求するのではなくて、環境や教育、地域貢献などを組み合わせて、事業を考えて作っていっているところが、とてもおもしろいと感じました。SDGsって奉仕して残らなくなったら意味がない、次につなげていかないといけないし、その場で頑張っている人たちにも、良いことがないといけないと感じます。循環型社会、といいいますが、モノの循環だけでなく、人の思いの循環もとても大切。さがみこベリーガーデンさんの取り組みには、そういう人の思いの循環があるなあ、と感じました。

そして、最後は嬉しいブルーベリー食べ放題の体験を少しだけさせてもらいました。すごくたくさんの品種があり、まだ実が熟れていない株もあれば、もうたわわになっている品種、大きさもいろいろ、味もさまざまなんだそうです。

個人的には、エリザベス、と、レガシー、という種類があまり酸っぱくなくて、とてもおいしかったです!楽しい体験をさせていただき、ありがとうございました。

 

そして夕刻、相模原駅まで帰ってきて解散となりました。

 

今回の視察で一番感じたのは、どの企業さんも、自分たちの強みを生かして取り組みテーマを決めてやっていて、その中でいろんな苦労やうまくいかないことも含めて、全部を引き受けながら前に進んでいこうとする強い信念があるところです。

最初は、子どもたちが楽しめる工場見学先を探そう、なんて思っていたけれど、小さい子どもよりは、高校生、大学生くらいのこれから新しい事業アイデアを出して実現していく世代に紹介してほしい、と思いました。

なぜ、それに取り組んでいるのか、何が私たちの未来に貢献していくのか、そういうことを考えながら、若い新しい目線で、斬新なアイデアを出してくれたら、すごくおもしろいなと思います。

 

今回の「SDGsパートナー向け視察研修」を少しアレンジして、ヤング世代向けのSDGs新事業発掘視察研修として、ぜひ引き続き実施してほしいなと思いました。みんなのSDGs推進課さん、よろしくお願いします!